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法令遵守マニュアル

法令遵守マニュアル

【基本姿勢】

 特定非営利活動法人 地域の絆の理念に則り、社会的責任・使命を全うするためにも、社会福祉法をはじめ、老人福祉法、介護保険法等の各種法令を遵守する方法を法人としてここに定めるものとする。
社会的責任・使命を全うするためには、社会からの信用・信頼は不可欠である。社会からの信用失墜行為は許されず、その為にも、本マニュアルを活用し、法人職員として法令順守に努めてもらいたい。
 

 

【基本原則】

1)法人の担う社会的責任と公共的使命を認識し、健全な法人運営を行います。
2)法令はもちろん、その精神までを遵守します。
3)自己責任原則を基本として、公正公平な法人運営を展開します。
4)ご利用者の自分らしさと、安全、安心を守るとともに、自立支援とご利用者本位の精神を尊重し、誠実な法人運営を展開します。
5)ご利用者はもちろんのこと、法人職員、その他すべての関係者の人格を尊重し、地域福祉の健全な発展に貢献します。
6)法人が社会に貢献する存在であることを意識します。
7)利益は、理念遂行のための手段であると認識します。
8)暴力や圧力については断固とした態度で臨みます。
9)地域社会に貢献し、地域の未来により豊かで公正な社会を残すよう尽力します。
10)難解な倫理問題に直面したとき、誰もが満足できるような解決策を諦めることなく、積極的に創造していきます。

 

【法令や法令遵守マニュアルに違反した場合】

1.(職員の違反)

職員の違反行為に対しては就業規則に基づいて懲戒解雇を含む措置をとる場合があります。

 

2.(理事・監事の違反)

役員に違反行為があった場合は理事会等において問責し、解任の手続きをとる場合があります。

 

3.(職員の就業時誓約書)

職員は、法令ならびに職場内の規約を遵守する旨の誓約書を、就業時に提出することによって雇用契約が開始されます。

 

4.(理事・監事の就任時誓約書)

理事・評議員は就任時に『法令遵守に違反行為があった場合には解任されることを承諾する』旨の誓約書を提出します。

 

【法令遵守担当者の役割】

1.(法令遵守担当者と統括者)

法令遵守については管理者ならびに主任がその責を負い、それぞれ法令遵守担当者とします。また、法令遵守担当者の統括は代表理事が行い、必要な報告を理事会等に行います。

 

2.(法令遵守担当者の役割:相互監視の原則)

法令遵守担当者は互いにその行動の正しさを監視しあいながら法令遵守のための啓発活動を行い、組織の中から上がってくる声を取り上げ、問題点を調査・記録し、代表理事への報告や問題是正を行います。

 

3.(法令遵守担当者会議)

法令遵守担当者とその統括者(代表理事)は各職員が法令を遵守しているかどうか、組織としての行動が法令を遵守しているかをチェックして、違反行動を未然に防止します。

 

4.(回答書の作成)

法令遵守担当者は職員から出されたコンプライアンス上の質問に答え、回答内容の記録を作成します。

 

5.(回答困難事例への対応)

回答困難な事例に直面した場合は、県、市町の担当者や運営推進会議などの第三者の意見を聞いた上で回答書を作成します。

 

6.(法令遵守研修など)

法令遵守に関しては年1回以上職員研修の場で説明する他、新規採用時においても説明を行います。

 

【ご利用者および取引相手に対する私たちの行動規範】

1.(守秘義務)

職員は職務を通じて知りえた情報を、本人やご家族の同意なしに正当な理由なく他に漏らしてはなりません。
なお、この守秘義務は退職などによって職場を離れた場合においても継続します。職員は、就業時に誓約書を法人に提出します。

 

2.(説明義務・適合性の原則)

サービスを提供するに当たっては、職員はサービスの快適性や有効性ばかりを解説するのではなく、専門職としてのアセスメントを通して、ご利用者にとっての必要性、経済能力なども考慮しながら、本当に必要なサービスを提供することを目的とした説明を行います。
また、ご利用者やご家族の要求を優先するあまり、ご利用者の自立を妨げるようなサービスを提供することのないよう常に自戒し、ときにはサービスの提供そのものを断り、そのご利用者にあったサービス提供のできる他事業所を紹介する決断も必要です。

 

3.(リスクの説明)

職員はサービスを説明する場合、あらゆるリスクを想定した上で説明を行います。また、法人の責任範囲についてもあいまいにせず、ご利用者やそのご家族の誤解を招くことのないよう充分配慮し、可能な限り書面をもって直接説明し、必要に応じては記録を残します。

 

4.(誠実な態度)

ご利用者やそのご家族に説明や相談をする場合は、たとえ一職員であっても法人を代表しての発言であることを認識し、無責任な回答を行ってはなりません。
その相談がその場においてすぐに回答できない場合にも『私には関係ないので他の人に聞いて欲しい』といった態度をとることなく、誠実に調査した上で回答をするように心がけます。

 

5.(ご利用者との癒着の禁止)

職員はいかなる行為であれ、ご利用者と法人との立場の違いをあいまいにするような依頼に応じてはなりません。ご利用者本位とは特定のご利用者の要望、依頼を全て受け入れることではないからです。

 

6.(情実取引の排除)

職員は縁故者や友人、その他何らかの個人的利害関係のあるご利用者や取引先が現れたとき、その旨を直属の上司に報告して情実的な関係に傾かないように考慮し、必要に応じて指示を受けなければなりません。

 

7.(公正な取引先選定)

職員は、品質、サービスの内容、価格、過去の実績、信頼度等を総合的に判断し、それに基づいて取引先を決定しなければなりません。
そのため、納入業者等から金品や接待を受けてはなりません。
また、必要に応じて入札、複数社からの相見積もりを取るなどの措置をとり、理事会においてその取引の公正性の説明を行います。

 

8.(リベート要求の禁止)

自己の立場を利用して、たとえ間接的な表現であっても取引先に金品や接待を求めてはなりません。
なお、許容範囲にあると思われる行為でも、それが第三者の目には不自然な行為に映る場合もありますので、注意を怠らぬように配慮します。

 

【福祉事業者としての行動規範】

1.(社会福祉法、介護保険法の遵守)

【福祉事業者としての行動規範】
社会福祉事業を行なう者として社会福祉法、介護保険法の遵守は当然の義務であり、法の精神を逸脱した事業運営を行なうことは、法人としての存在を損ねかねないものとして厳に慎まなければならないことです。

 

2.(社会福祉事業としての制限)

私たちには、特定非営利活動法人、介護保険事業者としての適正な事業運営を行うことが求められます。
そのため場合によっては収益を放棄した上で福祉活動を行うこともあることを心に留め置いて下さい。

 

3.(人員配置基準の遵守)

 法人は職員に欠員が出た場合は、早めに補充を行い、あるいはあらかじめ欠員に備える対策をとるなど強い組織づくりを考えます。
にもかかわらず不測の事態が生じた場合は関係諸機関などに相談の上、定員の変更や減算などの対応策を考えます。
法令遵守をすることが結局はご利用者の幸せを守ることになるからです。

 

4.(資格の確認)

 人事担当者は職員の資格証を就業時に原本確認の上でコピー保存します。
また、運転免許証など更新期限のある免許については、毎年定期的にチェックをする体制をつくります。

 

5.(定員の遵守)

 私たちはあらかじめ定められた基準を上回る定員を受け入れることはしません。定員をオーバーすることがすでに利用しているご利用者の幸せを奪う結果をもたらすことになるからです。
ただし、虐待や緊急災害時など市町村から措置命令が下されたときは、法の定めるルールに従うものとします。

 

6.(平等な受け入れ)

 ご利用者を受け入れる場合は、定められた基準に従って平等な受け入れを行うように心がけます。
ただし、どうしても優先受け入れを行うことが人道上必要だと判断された場合は、契約判定会議を招集するなどの措置をとり、その方の優先的受け入れが必要であることを説明して記録を残す必要があります。
また、ご利用者が望んでも受け入れができないケース(定員遵守のため、受け入れ難い重篤な病状の保持者など)については、誤解のないように誠意をもって説明を行います。

 

7.(設備基準の遵守)

 設備基準の遵守はもちろんのこと、設備の破損・故障の有無を常に点検し、ご利用者が安全で快適な生活ができるよう改善します。
また、定期点検の必要な設備については、事業計画書に点検予定月をあらかじめ記載しておく他に、再整備の必要な設備は長期修繕計画書を作成した際に予定時期等を記入しておくようにします。

 

8.(消防法の遵守)

 避難路に可燃物や障害物が置かれていないか、スプリンクラーの散水障害になるものはないか日常的に確認します。
また、年2回(うち夜間1回)の防災訓練を事業計画に記載し実施するとともに、職員緊急連絡網を整備して緊急事態に備えます。
なお、消防法上の計画や点検は防火管理者が中心になって行います。

 

9.(労働者の保護)

 私たち福祉事業者は、労働者の権利を奪うような行為や労働者の犠牲の下に福祉を推進するような行為、命令があってはなりません。
また、職務を離れた状況における職員の行動は、公序良俗に反せず社会人の常識の範囲にある限り法人が関与すべきものではありません。
労働者の自由と幸福を保障することが、ご利用者の幸福を結局は導くものであるからです。

 

10.(他事業所と連携と独立性)

 事業運営する上で、他の事業所と連携、協力体制をとることは、ご利用者にとって有益な場合があります。
ただし、連携を重視するあまり、特定の事業所に必要以上の便宜を図り、その他事業所やご利用者の利用を制限することは許されません。
連携を図ったとしても事業所としての運営は独立を保ち、自主の公正な判断において法令遵守に努めます。

 

【福祉従事者としての行動規範】

1.(身体拘束の禁止)

 福祉事業者として、人間として、身体拘束は是認されるべきものではありません。拘束は直接身体を縛ることだけではなく、行動範囲を狭めること、過剰な投薬をすること、さらには制約的な命令をすることまでもが含まれます。
にもかかわらずやむを得ず身体拘束が必要と思われるときは、緊急性、非代替性、一時性を確認し、ご家族の了解を得た上で期間を定めて拘束を実施することにもなります。
ただし、この場合においても『身体拘束は人間の尊厳を著しく害する行為であること』を私たちは忘れないようにしましょう。
また、やむを得ず身体拘束を行った際には、定められた期間中の経緯を、ご家族へご報告及び記録を残すものとします。

 

2.(虐待の防止と通報の義務)

 虐待が疑われる証拠を発見した場合は、状況を精査の上、直ちに市町村にその事実を報告しなければなりません。
事実を知っていたにもかかわらず通報をしないことは、虐待をしているものと同じ罰則が待っています。
虐待発見時の通報は私たち福祉事業職員の義務なのです。

 

3.(交通法規の遵守)

 私たちは業務上、あるいは業務に就くために車両を運転することの多い職種です。交通法規を守り、運転マナーを身に付けるのは社会人としての常識と心得ましょう。
とくに飲酒運転事故に対しては、私たちは懲戒免職などの厳しい処罰を受けることを知っておきましょう。
なお、交通安全に関する啓発は安全運転管理者と共同で行います。

 

4.(法人財産の尊重)

 全ての職員は法人の財産を尊重しなければなりません。法人の所有物を持ち帰る行為などは言うまでもなく、業務とは関係ない電話の使用、備品や燃料、電気、水道の無駄遣い、必要ない物品の大量購入などは厳に戒めて下さい。

 

5.(公正な経費処理)

 職員は、旅費、交通費、残業請求、有給休暇申告などを正確に行わなければなりません。経費については実際にかかった費用を領収書と引き換えに精算するのが原則です。なお、精算方法の不明な点(JRの利用など領収書がないケース)などは経理担当者に必ず相談して下さい。

 

6.(記録・マニュアル類の整備)

 事業を行う者として各種の記録を整備し、また職員間の伝達に関しても常に配慮、改善を続けることを私たちは心がけます。
また、マニュアル類は少なくとも年1回は見直し、法律と実態に合わせた内容にしておきます。また、必要に応じて新しいマニュアルを作成しておきます。

 

7.(内部ルールの確認)

 職員は内部ルールの変化に常に気配りをし、連絡ノートの確認をする習慣をつけましょう。
ルール変更の伝達ミスは、ご利用者に重大な危険をもたらすことがあります。『知らなかった』『教えてもらっていない』で済ませず、伝達機能の改善についても気を配りましょう。
ルールに合わない事象が生じたら、処遇の変更をして問題がないか充分に協議し、内部ルールのスムーズな変更をすることを考えましょう。
ルールは利用者あってのものだからです。

 

【より良い法人にするための行動規範】

1.(差別の禁止)

 職員の雇用や処遇にあたっては、各人の仕事内容や業績にしたがって平等に評価しなければなりません。また、性別、国籍、思想、宗教、身体上の特徴、その他個人的な特性に基づいた差別はいかなる場合でも行ってはなりません。
はっきりと差別であると言えない場合であっても相手に不快感を与える言動には注意しましょう。

 

2.(セクハラ、パワハラの禁止)

 いかなる場合においても、自分の地位や立場を利用して性的な関係を強要することは許されません。
また、同様に上位の職員が下位の職員に対して、精神的な圧力をかけたり、不平等な労働を強要したりすることも許されません。
異性が嫌悪感を抱く発言を繰り返すことや、職場の環境を悪化させる行為、発言も禁止します。

 

3.(相互監視と保護の原則)

法令遵守のために立ち上がった職員の相談や報告に対しては、充分な保護措置がとられることが大原則です。
その活動に対して制約や報復、揉み消しなどの行為が行われることになるよう法人は配慮しなければなりません。
また、職員は法令遵守をしているかどうか互いに監視し合い、必要に応じて相手にアドバイスをおこなうよう心がけましょう。

 

4.(不透明な慣習の排除)

 当法人においては、部下から上司への金品の提供は、中元・歳暮の類を含め禁止します。この行為が賞与や昇給等への決定の公正さに対する信頼を揺るがす恐れがあるからです。ただし、冠婚葬祭等に関しては、常識の範囲でこれを認めます。

 

5.(理念の追求:利用者本位であること)

 法人として一丸になるためには、法人の理念を職員全員で理解し、ご利用者本位の処遇を提供することを忘れてはなりません。
また、職員は自分のやっていることが理念に添っているか、業務本位に陥っていないか気配りをして下さい。

 

6.(職場の雰囲気づくり)

 職場の良い雰囲気こそ、法令遵守のできる環境を生み出します。
手法や技量が異なったとしても、『職員はご利用者のために業務を行っていること』を互いに理解しましょう。
この場合『私は関係ない』とか『上司がそれをやるから黙っていよう』といった考え方は禁物です。
職場の雰囲気はみんなが作り上げるべきものであり、それが理念追求の一番の近道なのです。